平成24年度は本研究3年間の最終年度である。従って、テーマである“自然放射能線源を利用した「30分測定実習」”の仕上げの年を意識して研究を進めた。「30分測定実習」を実現するためには、受講生を主体に考えた測定用具、放射線源、実習データシート、説明スライドなどを整備することが大事である。23年度までにその概要は大部出来ていたが、24年度は、特に高校生を対象に実践しながら、完成させた。この実践の中で、分担測定法を考案した。分担測定法とは、受講生を数グループに分け、一連の測定をグループで分担して行う測定法である。そうすることにより、測定に必要な時間を節約することが出来る。この方法を放射線業務従事者教育や高校生を対象にした環境放射線測定において実践した。その結果、「30分測定実習」を実現するために重要な手法であるほか、教育現場においてもっと大事な効果のあることが分かった。分担測定法では、複数のグループが協力して全員でデータをまとめる。その結果、受講生どうしや講師との間に一体感が生まれ、実習への興味と積極的な参加を促すプラスの現象が見られたからである。これは、予想しなかった成果であったが、実習に親しみながら、積極的に放射線を理解するという点で、今後、さらに発展させる価値があると考えている。 また平成24年度は、これまで以上に、自然放射能線源による放射線実習の普及に努めた。核融合科学研究所主催のオープンキャンパスや東京イベントでは、今年も継続して環境放射線測定のコーナーを設けるほか、新たに「信州環境フェアー」や「名古屋2012」などに参加して、主に小学生親子を対象に放射線と放射能のデモンストレーションを行い、好評を得た。また「自然放射能線源の利用に関する研究会(平成25年1月25日、核融合科学研究所)」を開催して、7件の演題発表を行うなど、最新の放射線教育について情報交換を行った。
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