研究概要 |
本研究の目的は,一般に普及している画像入出力家電を実験装置・計測機器(分光検出器)として転用し,学校教育等における科学実験の可能性を広げる新たな実験法を開発することである.平成22年度は,主に「(1)発光現象を利用した水質分析」として炎色反応による発光現象を取り上げ,発光強度をデジタルカメラで測定することにより,天然水中のアルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンを簡便に定量分析できる方法の開発に取り組んだ.具体的な内容と成果は以下のとおりである. 1.デジタルカメラでの測定を再現性よく行うために,安定に炎色反応を持続させるための方法を検討し,簡便な測定システムを確立した.さらにデジタルカメラの撮影条件と撮影したデジタル画像の解析法について検討した. 2.天然水中の主要成分であるCa^<2+>およびNa^+を取り上げ,河川水や雨水を対象とした分析の測定条件を詳細に検討した.その結果,目的の微量分析ができる濃度範囲について測定可能な方法を確立した. 3.河川水や雨水中のCa^<2+>およびNa^+の測定を行った.本法で得られた値は,0.1ppm程度~数十ppmの広い濃度範囲で,再現性がよく,炎光光度計での測定値とよく一致した.よって本法の有用性が確認された. 以上,デジタルカメラを検出器として用いることにより,天然水中の微量なCa^<2+>およびNa^+を精度よく分析できる方法を開発した.炎色反応による水質定量分析の簡易法はこれまでに報告されていない新規性の高いものである.本法は特別な機器を用いない簡便な方法であり,学校現場でも十分に実践が可能な方法である.
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