研究概要 |
ナノテクノロジーに代表されるリスクを含む科学についてそのコミュニケーション方法を設計し構築する目的のため,平成22年度は基礎調査として,他分野との比較調査を行った.具体的にはナノテクノロジー分野(物性物理学)を含めた基礎科学の8つの分野を選び(宇宙惑星科学,天文学,素粒子物理学,物性物理学,地震学,古生物学,分子生物学,数学),科学コミュニケーション活動がどのように行われているのか現状の調査を行った. 調査研究で問うたのは以下のふたつの項目である. (1)公衆がこれらの分野にどのように関心を寄せているか (2)当該分野の研究者はどのような意図,目的で情報発信を行っているか 上記の調査方法は,(1)はインターネット上の調査で,(2)は分野を代表する研究者への聞き取り調査を行った.その結果,研究者は公衆の目的に応じて情報発信を行っていることがわかった.また科学コミュニケーション活動の内容は主に研究の成果をわかりやすく発信するアウトリーチが主であり,今後の科学をどのように進めていけばよいのかという開かれた議論を行っている研究分野はほぼなかった.また,(2)では予算獲得や人材確保のために科学コミュニケーション活動を行っているわけではないこともはっきりした. 今後はこの調査結果をもとに,2011年3月に起きた東日本大震災に関連して,ナノテクノロー分野はもちろん,地球科学,原子力に関連するリスクを含んだ科学知の科学コミュニケーションの設計,構築を行っていく.
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