研究課題
ナノテクノロジーを中心に基礎研究分野のコミュニケーションに関する、公衆および研究者の意識調査を行った。その結果、公衆は各研究分野に対し異なる「興味」と「期待」を寄せていることが初めて明確に示された。たとえば分子生物学に対しては興味も期待も強いが、数学については両者とも低い。これに対して恐竜などの古生物学に対しては、興味は強いが期待は低いなど、分野による違いは大きい。ナノテクノロジー分野(特に物性物理学)に対しては、期待は高いが興味は低いといった結果が得られ、分野の特徴に応じたコミュニケーションが必要であることが示された。特に地震学については興味も期待も高い(2011年の東日本大震災前のデータ)ことから、実用に対する期待を不要に高めすぎず、等身大のコミュニケーションが重要であることが確認された。また、東日本大震災を受け、急きょ、リスク全般に関するコミュニケーション研究グループに協力し、より広い範囲でのリスクコミュニケーション研究に、2つの課題に対して寄与した。ひとつは低線量被ばくに対する、子育て世代の親たちがどのような不安度をもち、誰の情報を信頼していたかという点である。この調査から、福島県では母親の不安が父親よりも、また全国的な平均よりも高いことが示された。放射線に関する情報は足りているが、自身によって生活をコントロールしている意識が持てない状況に置かれていることが背景にあることがわかった。このテーマについては引き続き、貢献していきたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Public Understanding of Science
巻: online September 13, 2012 ページ: 1-17