研究概要 |
本研究では、理科におげる科学的表現力を育成する観点から,子どもの科学的な記述を自己組織化マップによって評価するシステムの開発を行うことを目的とした。平成22年度に開発を行った自己組織化マップによる評価システムの試行版(VB.NETによる)は、デスクトップパソコン仕様のため、本年度はweb版の開発を行った。web版の開発は、次の問題点の克服や対応を意図した。子どもの記述内容についてのデータの保護を行う、多くの関係者が同時に活用できるようにする、システムの改善をすぐに反映できるようにする、ことである。web版の開発にあたっては,これまでのVB.NETを用いている形式を継承するため,ASP.NETを用いて作成した。運用にあたっては,Windowsサーバーを大学内に独自に立ち上げた。システムは、これまでと同様に、問題に対して自由に解答を行うと、自分の解答が自己組織化マップに位置づけられ,その位置づけられた色や近隣の色から正誤について評価ができるものである。また,自分の解答に近い解答が近隣に配置されて,近隣の色をクリックすると解答例が参照でき、正誤の判断を比較して行えるようにしている。問題は、TIMSS2007の記述問題を用いた小学生用と中学生用の各12問である。さらに、今年度は、試行的に「大気圧」に関する中学生用問題2問を作成し、約160人の生徒からの解答を得た。その解答を分析しシステムに組み込んだ。以上のシステムの動作については、理科教育関係者6人にサーバーへのアクセスを求め、システムの動作チェックを依頼した。その結果、適切に動作することが明らかになった。現在、システムはweb上に公開され、一般に利用できるように運用している。
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