最終年度は特に2つの課題について研究を行った。 1.授業者の家庭科教員とこれまで研究してきた食品中の鉄の可視化に関する教材について説明し、授業実践を依頼した。高校1年生8クラス計318名(男子168名、女子150名)を対象とした「家庭基礎」の授業の中で、鉄分の可視化に関する実験を取り入れた実践を各クラス1時間行った。事前アンケートで、これまでに家庭科の授業で実験の経験があると回答した生徒は、わずか14名(4.5%)と少なかった。事後アンケートで、実験に対して興味をもって取り組めた230名(74.4%)、今回の実験の手順や方法が理解できた253名(81.9%)、今後も実験を取り入れた授業を受けてみたい259名(83.8%)と肯定的な回答が多く見られた。事前アンケートで、毎日の食事の中で食品に含まれている栄養素を実感することがあるかの問いに対して、254名(83.3%)がないと回答していたが、事後アンケートでは、今回の実験で食品の中に鉄が含まれていることを実感することができたと230名(74.4%)に肯定的な回答が見られた。(平成25年度日本家庭科教育学会発表予定)。 2.ビタミンCを多く含むものが,必ずしも酸味を感じる食品ではない場合が多いためビタミンCとその塩化合物であるビタミンCのナトリウム塩(ビタミンC・Na)やビタミンCのカルシウム塩(ビタミンC・Ca )を用いてそれぞれに比較し,舌で感じる酸味と食品のビタミンCの含有量との違いとその科学的な裏付けを伴った実験を行った。官能検査やインドフェノール法やpHメーターでの水素イオンの測定を行い科学的な裏付けを伴った実験を行った。そして,それらの科学的根拠をもとに,子どもが視覚的にビタミンCの含有量を理解できるインドフェノールで染色したろ紙を用いたスタンプ教材の開発を行った。
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