研究課題/領域番号 |
22500856
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
笠 潤平 香川大学, 教育学部, 教授 (80452663)
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研究分担者 |
岡本 正志 京都教育大学, 教育学部, 教授 (70149558)
谷口 和成 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90319377)
高橋 尚志 香川大学, 教育学部, 准教授 (80325307)
松本 一範 香川大学, 教育学部, 准教授 (90452664)
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キーワード | 科学教育 / 科学リテラシー / 科学的なデータの見方 |
研究概要 |
本研究では、市民が、科学・技術に関係する社会的問題に対して合理的判断を持って民主的意思決定に参加するために必要となる科学的データの見方の諸構成要素を同定し、その習得のための小中高校向けの教材と授業プラン・評価方法・付随する教員研修プランを開発し試行すること、および、中学・高校における探究活動におけるデータの科学的な取り扱いの重要性を理解できる教材の開発を行うことを目指している。教材開発にあたっては、現実の社会からの例を取り上げ、また生徒による判断の自由度がある探究活動の体験を取り入れることによって、現在の生徒たちの興味関心に合った教材・授業プランを開発することを意図している。 研究2年目の23年度は、第1に、市民が身につけるべき科学的なデータの見方・探究活動におけるデータの取り扱い方についての理論的な検討を、とくに2011年3月た起きた福島第1原発の事故に関連する諸問題を例にとって、英国のGCSE「21世紀科学」コースの放射性物質とエネルギー問題についての取り扱いなどを参考に行うなどした。第2に、英国の小中向け理科コース"Thinking Science"の変数の取り扱い、統計的な物の見方、確率、サンプリングなどについての教材、ダーハム大学の理科教育研究グループの探究活動におけるデータの見方と証拠の諸概念についての研究成果を踏まえた、中・高・大学向け教材および授業プランをそれぞれ作り、中・高段階の協力校で実施したほか、研究代表者・分担者の所属大学での講義・演習においても試行的に用いて児童・生徒・学生の反応を調査した。第3に、これらの研究への協力校を増やした。これらの結果を、物理教育学会、物理学会、理科カリキュラムを考える会全国大会などで発表するとともに論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスの科学的リテラシーのための理科教育の教材については、その指導資料、具体的なアクティビティなどについて量的にも質的にも順調に検討が進んでいる。また、研究協力校の協力を得て探究活動に必要な観点を身につけさせる授業プランの実践とその結果の論文化も行うことができている。学会発表、シンポジウム講演などで、研究成果を公表することもできている。さらに、現場教員の研究協力者および研究協力校が増加している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は本研究の最終年度であるので、データの見方を中心とした科学的リテラシーを目指す理科教育に関するシンポジウムを開催し、その内容を資料化する予定である。また、これまでの検討にもとづく、授業プランの作成と試行を進め、公表する予定である。そのために、香川大学および京都教育大学の研究分担者、香川および京都両地域をはじめとする全国の研究協力者との協力体制をさらに密接にする必要がある。
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