才能のある児童生徒の個性・能力を伸長するための、特別な科学学習支援のニーズが注目されている。本申請研究では、小学校段階を中心として、学校・家庭・地域がそれぞれの特性や役割を明確にしながら協働する科学才能教育モデルを具体的かつ実証的に開発し、提案することを目的としている。(1)学校・家庭・地域における子どもの発達の過程に応じた科学才能スタイルのモデル化と教育ニーズの解明、(2)教材・指導法・評価を含めて、粒子・エネルギー・生命・地球分野におけるスタンダード・ベースな科学才能教育プログラムの開発、(3)開発した科学才能教育プログラムの実践と科学才能教育プロトタイプの提案を行うことが具体的な目標である。平成22年度は、才能認定に関わる実証的研究として、科学分野に才能を示す子どもの特殊な能力、学習のスタイル、興味について調査を行い、学校・家庭・地域に特有な科学才能スタイルを明らかにしてモデル化しようと試みた。そしてそうした科学才能スタイルを伸長する科学教育プログラム開発へ向けた教材・プログラムの開発に着手した。才能教育や科学教育に関する資料の整理・分析に基づき、既存の科学教育カリキュラムの分析を行うと共に、小学校低学年向けの科学才能行動チェックシートを作成した。同時に、粒子分野と生命分野から、それぞれ「水」と「ヒトの体」をトピックとして選び、各6時間分の科学才能教育プログラムのパイロットモデルを開発した。そして、開発したチェックシートとプログラムを使って、10名の子どもを対象に、実践を行った。
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