研究概要 |
情報通信技術(ICT)の社会的影響が増大する中で,高度な情報系人材の育成は産業の国際競争力を増大させるためにも,政府や地方自治体を含む様々な組織の運営を効率化する観点からも重要性が高い.情報系の高度な人材を育成するために大学、産業界、政府等では種々の取り組みが行われているが,それらの取り組みの関連は明確とは言えず,産業界からは情報専門教育に対する産学の取り組みにミスマッチがあるとの指摘も良く聞かれる. 上述したミスマッチの内容を定量的に分析するために,本研究では情報処理学会・情報処理教育委員会の協力も得てJ07フォローアップ調査を行っている.J07フォローアップ調査では,大学・大学院における情報専門教育の成果および,産業界が情報系大学・大学院の修了者に求める能力を定量的に調査分析する.情報処理学会,産業界,教育機関,学生など様々な立場の関係者が分析結果を共有することで,情報系の人材育成に関する産学官の相互理解を促進するとともに,J07後継カリキュラムの検討にも資することを目的としている. 平成23年度は、情報処理学会理事会,日本経団連,JISA,JUAS,IPA,日本技術士会等に協力を要請し,58名の回答者から89件の要求レベルデータを収集した.要求レベルデータのうち48件は情報分野の修士修了者に対する要求,41件は学部卒業者に対する要求である. また、情報系の教育機関(大学、大学院)およびそれらの教育機関の卒業生に協力を要請して達成度レベルデータを収集した.達成度レベルデータのうち16件は修士課程修了者の達成度、76件は学部修了者の達成度、19件は教育機関(学部)の達成度(トップレベル、平均レベル、最低レベル)、23件は教育機関(修士)の達成度を示すデータである. さらに、我々は情報処理学会が提案した情報専門カリキュラムJ07の5つの専門領域(CS、IS、CE、SE、IT)を分析して、専門領域毎の要求レベルデータを作成した.
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