本研究の目的は、インターンシップやビジネスプランコンテストなど就業導入教育すなわち『キャリア教育』について、学生はもちろんのこと企業や大学(教員)にもメリットのある産学連携型教育プログラムを構築し、その実践効果および学際的な価値を検証することにある。具体的には、学生が地元企業から寄せられた日常的課題を解決するための提案をビジネスプランとして構築し、コンテストを実施することで課題や解決策を学生、企業、教員(大学)間で共有し、お互いの産業技術レベルや科学的学術的レベルを高め合うことを最終目標とする。 平成22年度に構築した教育プログラムを平成23年度~平成24年度通して実施し、本講義に参加した学生の成長度合いを社会人基礎力(「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」)の評価方法を活用して評価した。一方、企業に反映された成果の検証は、前年度参加した企業への成果反映具合の追跡調査をアンケートや聞き取り調査(対面式)などを使って引き続き行なった。今まで、せっかく良いビジネスプランが生まれてもその成果が十分企業に反映されていなかった反省を踏まえて、これが反映されるよう当機構の客員教授や連携研究員を活用して学生への指導を確実に行うと共に、企業への精力的な相談・協力などの働きかけを行った。 平成24年度には、協賛企業等14団体から得た34課題のうち21課題を選定しビジネスプランを構築した。これらのプランはビジネスプランコンテストの形式で発表し学生の社会人基礎力向上に役立てた。特に、コンテストは地元の高校、高専、他大学にも呼びかけ40件の応募があった。これらの中から、最終的に10件の口頭発表を行った。このプログラムに参加した学生は、工場見学に行ったり起業経営者にインタビューするなどいわゆるインターンシップも実践でき、社会人基礎力3つの力のいずれも5ポイント以上向上した。
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