研究概要 |
原子力・放射線は、科学的側面と社会的側面が相伴って階層的に認知されていくことが望まれる科学技術の一つである。しかし、情報量や与えられた情報の理解容易性に依存して,社会的側面理解・探究が先行しているのに対し、科学的側面に関しては、原子力・放射線の科学知識リテラシーの養成は遅れているのが現状である。本研究課題では、従来の専門家が作成する原子力・放射線教材とは異なり、小中高校生および教諭・保護者が自ら作成する教育単位ごとの原子力・放射線教材の開発プログラムを開発し、小中高等学校および生涯教育の教材として供し、原子力・放射線の科学的理解および社会認知につなげることを目的とした。この目的のために、小中高校生対象とした放射線・原子力に関する講演・実習による原子力・放射線に関する科学的認知を進めた。その結果、高校生による原子力・放射線教材の作成が為され、当該教材を用いた高校生による高校生への原子力・放射線教育を実践した。当該実践に関しては、高校生自身が学会で発表を行い、大きな反響を得た。更に、年度末(平成23年3月)に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による福島第一原発事故の影響によって、原子力・放射線に関する関心が高まる中で、事故前に行っていた(平成22年12月)、小中高校生による原子力・放射線を対象としたディベート活動(実際の活動では小中学生グループと高校生グループに分けて学習した)と同じメンバーによる事故後のディベート活動を実施した。そして、福島第一原発事故前後のディベート活動の内容を比較し、その影響について解析を行った。
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