本研究は学内でのグリーンIT教育(例えば、情報技術を利用した省エネルギー化に向けた環境教育)を実現するため教職員及び学生が利用できる環境可視化システムを構築するものである。具体的には大学の大教室の環境データ(温度、湿度、電力など)をいつでも、どこでも計測できるセンサネットワークを学生自ら構築し、可視化した環境データをインターネット上でだれもがどこでも閲覧できるようにして在学生の環境意識を向上することを目的とする。平成22年度は学生自身による温度、湿度、空調機器消費電力量などの環境データを計測するためのセンサネットワークを構築し、計測した環境データを蓄積するためのサーバ構築とデータを効率よく学内へ配信し、表示するシステムの構築を行った。まず、定員200人、270人規模の2教室に温度・湿度センサ及び空調機器の消費電力を計測する電力計を設置し、温度、湿度、電力のデータを無線伝送し、学内LAN経由でサーバに蓄積するネットワークを構築した。さらに、取得した電力量をCO2排出量に換算し、前日比、前月比で表せるようにデータベース化し、表示できるようにした。また、教室内を座席毎に6つの区画に分け、区画毎の温度、湿度、不快指数で数値と色区分で表示するようにした。表示箇所は教室の教卓の小型ディスプレイと教室前のPCのディスプレイである。教員は教卓に置かれた小型ディスプレイを見ることにより教室内の快適性を具体的に把握でき、学生は教室前のディスプレイにより空調機器の電力消費量、CO2排出量を当日、対前日、対前月で確認することができる。このように環境を可視化する情報システムを構築することにより学生のITスキルの向上に有効であるとともに大学で講義する教員に対する教室内環境の情報提供と学生を含めた省エネに向けた環境意識の啓発に大いに貢献することができた。さらには、大学を見学に訪れる高校生などにも環境教育の点から本学の取組みをアピールすることができた。
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