本研究は学内でのグリーンIT(省エネルギー化(以下、省エネ)を目標とする環境教育の実践と情報技術を利用した電力消費量の削減)を実現するため学内の教室の環境を「見える化」し、教職員及び学生がいつでも、どこでも利用できる環境可視化システムを構築し、省エネの効果について評価するものである。具体的には、大学の大教室内の空調の環境データ(温度、湿度、電力など)をリアルタイムに計測できるセンサネットワークを構築し、可視化した環境データをインターネット上でいつでも、どこでも閲覧できるようにして教職員、学生の環境意識の向上を目的とする。また、教室内の快適性を保ちながら空調機器を制御する方法と省エネについて検証する。平成24年度は平成23年度に引き続き夏季と冬季における快適温度をアンケート調査により明らかにした。具体的には湿度を考慮した教室内の快適温度を多重回帰分析により以下のように算出することができた。 6月(夏季):快適温度=(13.0845-0.049214×湿度+4)/0.539422 10月(冬季):快適温度=(4.24852-0.007098×湿度+4)/0.337875 快適温度は、6月が湿度66%のとき26℃であり、10月は湿度が44%のとき23℃である。許容範囲の±2℃を考慮すると、6月は26℃±2℃(=24℃~28℃)、10月は23℃±2℃(=21℃~25℃)が快適範囲である。求めた快適温度をもとに、教卓の端末に室内の平均温度と空調の操作(ON/OFF)方法について分かり易く表示した。この画面をもとに空調機を操作(ON/OFF)した結果、夏季は最大48%、冬季は最大57%空調機の消費電力量を削減することができた。また、空調機の制御を行うことにより空調の過剰使用による教室内環境の不満を改善することができた。
|