研究概要 |
昨年度までの研究では,電子回路製作を伴う実験教育のための新しい教育支援システムを構築することを目的として,裸眼立体映像と触覚デバイスを組み合せることにより,リアル感のあるVR環境の構築と実験教育支援システムへの応用に関する研究を行った。一方で,現行の実験教育支援システムで用いられている技術要素は,バーチャル計測器や回路シミュレータのように,コンピュータ上で行うシミュレーションに限定されたものであり,回路製作を伴う実験教育に応用した場合,十分な教育効果が得られるとは言い難い。しかし,これら従来の教育支援ツールと,本研究で構築した準リアリティ環境を組み合せることにより,回路の設計,製作,及び計測といった実験教育に必要な教育内容の全体をカバーする実用的かつ強力な実験教育支援システムを構築することが可能となる。この点を踏まえて平成24年度の研究では,本研究で開発してきた (1) 視覚的リアリティ, (2) 触覚的リアリティ, 及び (3) 多次元実時間信号処理の各技術を発展させる研究を行い,さらにこれらとバーチャル計測器,及び回路シミュレータとを組み合わせた総合的な回路実験教育支援システムを開発する研究を行った。また,本システムは,卓上に複数の機器を配置することにより構成されるため,実験教育の妨げになることが懸念される。この問題に対処するために,各機器の操作性の良さを追求する人間工学的な研究を行い,提案する実験教育支援システムの実用性を向上させることができた。これらの研究成果により,バーチャル・リアリティ(Virtual Reality; VR)環境において,よりリアルな回路実験教育を実現するシステムを構築することができた。
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