近年、高度専門的な技術を扱う企業現場においては技術者特有のメンタルヘルス問題が発生しており、生産性向上において大きな問題になってきている。人材養成のためには、特に大学では入学初年度から、技術者特有のメンタルストレスに対応した教育プログラムを開発する必要がある。本研究においては、この教育プログラムを開発し実施するための支援システムの開発とその実践を目的とし、基幹システムおよび通信の技術的な準備および教育支援プログラムの開発のため、昨年度に引き続き、(1)本学の初年度入学生のうち、経営情報システム工学課程全員(11名)および工業高等専門学校からの3年編入生12名にPDA(個人情報端末)を持たせた。結果として1年生、2年生、3年生の計35名にPDA端末を持たせた。これにより、経時的な変化を調査可能となった。昨年度と同様、これらのPDAを既存の通信回線で結び、日常の心理状態(メンタルヘルス、メンタルストレス)をリアルタイムに把握した。その結果、対象となった初年度学生は昨年同様、比較的短時間で操作に慣れ、使いこなしができるようになった。すなわち、種々の情報を固定的なパーソナルコンピュータに頼らなくても、瞬時に起動できるPDA端末により、講義はもとより、さまざまな情報収集が可能となった。これにより、学生の勉学意欲・参加意欲は非常に増した。提供する情報も電子書籍形式のものを用意し、配布した。さらには、より詳細な内面的あるいは行動変容の結果などを明確にするプログラムの開発を行った。すなわち、環境からの快不快刺激等の情報共有を行い、ストレス耐性の高い状態を創生するような行動変容を促すプログラム開発を試み、一定の成果を得た。
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