研究課題/領域番号 |
22500882
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
|
研究分担者 |
伊東 幸宏 静岡大学, 法人本部, 学長 (20193526)
近藤 真 静岡大学, 情報学部, 教授 (30225627)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 講師 (40359758)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 知的教育システム / 日本語教育 / 意味交渉 / 対話システム / 対話訓練 |
研究概要 |
1.システムが意味交渉における的確な発話を行う対話戦略の設計・実装:先行研究で開発した対話システムに、日本語学習者と対話する日本語を母語とする話者の立場で意味交渉を行う発話文を生成する戦略を設計・実装した。 2.学習者に意味交渉の訓練をさせる教育環境の試作:学習者に対象言語のテキストを聞きとらせて文意を再現させ、十分再現できなかった部分について擬人化エージェントとの間で対話的に補完させる学習環境(疑似ディクトグロス環境)を構築した。これはエージェントとの間で意味交渉を含む対話を行わせる学習環境と捉えることができる。この成果はコンピュータの教育利用に関する国際会議ICCE2012でfull paperとして採択され、Special Mention Awards (for non-student papers)を受賞した(受賞数は全発表中2件)。 3.意味交渉スキルの養成に適した課題の構築:相手が自分にとって未知の単語や表現を用いる状況、相手が自分の使った単語を理解してくれない状況を課題として設定し、意味交渉によって最終的に意思の疎通をはかることを目的とする課題を作成した。 4.プロトタイプシステムの実験的評価と修正:ここまでに開発したシステムを用いて、日本語学習者を被験者とする利用実験を行い、利用者の主観評価に基づいてシステムデザインの妥当性を評価し、またその結果を用いてシステムを修正した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「1.システムが意味交渉における的確な発話を行う対話戦略の設計・実装」については一定の範囲で実装を行うことができたが、学習者が不適切な発言をした際に母語話者が行う意味交渉をカバーできなかった点にやや不満が残った。「2.学習者に意味交渉の訓練をさせる教育環境の試作」については、上述の通り国際的に高い評価を受け、予定以上の成果を挙げることができた。「3.意味交渉スキルの養成に適した課題の構築」「4.プロトタイプシステムの実験的評価と修正」については、実際の日本語学習者による利用実験を行うなど、予定通りの進捗であった。以上を総合して、おおむね順調に進展していると自己評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
基本的に、計画通りの方針で研究を推進する。ただし構築するシステムについて、当初の予定では単純な対話型システムのみを想定していたが、概要2.で挙げた疑似ディクトグロス環境が本研究課題の目的からみて現実的に授業などへの導入効果が高いと考えられ、また国際的にも高い評価を受けているため、このタイプのシステムの構築・評価の比重を当初の予定より高めるものとする。
|