平成22年度には、大学生を対象としたクリティカルシンキングをうながすゲーミング教材を試作し、予備的に試行をおこなった。初等中等教育現場において導入するゲーミング教材がまず興味を喚起するものであるかを大学生において検証・確認することが必要となる。 予備的におこなった実験のなかで明らかになってきたことは、上級生では試作のゲームで一定の効果をえられることが期待されるが、初年次生ではそれが高度すぎるという点である。上級生はクリティカルシンキングの考え方になじんでいるので、ゲームの長所が生かせる状態にあるが、初年次生はまだそういう状熊になく、試作教材を用いるにはその前に論証の規範に関する講義が必要であることが明らかになってきた。 本研究では、より低年齢の児童生徒を対象にするため、論証に関する講義をおこなうよりも、まず論証になじむこと、論証をおこなってみるを目的としたほうがよいと判断し、教材の構成を再度見直すこととした。現在、より自由度が高い論証が可能な教材を作成中である。 また、ゲーム実験をおこなううえで、被験者を5名集める必要があり、初年次生を確実に5名揃えるには、オリエンテーション科目を対象とすることがよいと判断し、平成23年度前期のオリエンテーション科目を通じて被験者を募ることとした。 併せて、ゲームの教育効果を測定する指標として、クリティカルシンキング能力を測定する尺度が開発されていることを最近知ったので、それが利用できるかどうかも検討中である。
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