研究課題/領域番号 |
22500887
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
藤本 光史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20270241)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育工学 / ユーザインタフェース / ペンベース携帯端末 / 授業支援システム / 数式処理システム |
研究概要 |
本研究は小テストなどの短時間使用に適したペンベース携帯端末利用の授業支援システムの開発を主目的としたものである。今年度は5年計画の4年目であり、主にペンベースアプリの開発と教材作成を行った。 1.デジタル教科書の機能調査:タブレット用デジタル教科書において、タブレットの特性を活かした機能がどれくらいあるか調査した。その結果、関数のグラフ表示については利用できる場面に制限があり、他のアプリとの連携が必要であることがわかった。また、メモ機能においては指による入力は困難であり、スタイラスが別途必要であることがわかった。 2.ペンベースアプリの開発:国語のための音読指導支援アプリ、数学(整数分野)のための魔方陣自動生成アプリと数独難易度判定アプリ、数学(図形分野)のための折り紙の一刀切りアプリを作成した。また、課題研究用にルービックキューブ解法支援ソフトを開発した。これは画面上に3次元表示されたルービックキューブを指で操作しながら様々な実験を行うことが可能なソフトである。この成果は、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所での研究集会で発表した。 3.教材の作成:グラフ電卓を先行研究として捉え、ペンベース携帯端末の効果的な利用場面の検討を行った。そして、検討結果に基づき、ペンベース携帯端末上の数式処理システムを利用した教材の作成を行った。単位円に内接・外接する正多角形の周の長さから円周率を求める「アルキメデスによる円周率の近似」と、公開鍵暗号の仕組みを理解し体験プログラムの作成を目指す「RSA暗号-メッセージの暗号化と復号化-」を作成した。 4.教材の試験利用:作成した教材の学習過程に無理がないか確認するために、ある高校の課題研究教材として試験的に使用した。50分×9回の授業でプログラミング未経験の高校生も、メッセージの暗号化と複合化を行うプログラムの作成が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の実施計画で予定していた「高等学校教科における単元調査」、「デジタル教科書の機能調査」、「ペンベースアプリの開発」、「教材の作成」、「eラーニングシステムとの連携」の5項目のうち4項目に着手し、ある程度の成果が得られた。特に、「ペンベースアプリの開発」においては、5つのアプリを開発することができた。また、「教材の作成」においては、2つの教材を作成できた。さらに、平成26年度に予定している「検証授業の実施と評価」の一部である「教材の試験利用」を実施することができた。この成果は、日本数式処理学会東北地区合同分科会において、招待講演として発表した。残りの1項目「eラーニングシステムとの連携」については、今後の検討課題とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はペンベース携帯端末を活用した授業支援システムの開発とその応用を目指す調査・設計・開発・応用から成る総合研究であり、最終年度となる平成26年度は、「ペンベースアプリの開発と調整」、「ペンベース型教材の作成」、「検証授業の実施と評価」を行う予定である。昨年度までに開発済みのAndroid用数式処理エンジンをペンベースアプリにするために手書き数式インタフェースを開発する。その際、マルチプラットフォームのGUIフレームワークであるQtを利用することで、AndroidとWindowsタブレットの両方に対応するGUIの開発を目指す。そして、昨年度作成したいくつかの教材をペンベース携帯端末から利用できるように修正し、検証授業で使用する。
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