近年コンピュータ技術を用いたe-ラーニングシステムの開発と応用が注目されている。また、医工学において情報と工学の先端技術を活用した鍼灸医学への支援も検討されつつある。しかし視覚情報と共に操作情報を用いた鍼療法の総合学習訓練システムがまだ見当たらない。そこで、本研究では今までの教育訓練システムの研究開発技術と成果を生かし、情報科学と工学技術を融合した鍼療法と手技の教育訓練マルチ支援システムの構築を行い、21世紀の統合医療で活躍できる鍼師の育成へ貢献することを目指している。 本年度では、前年度の研究を引き続き、鍼療法の学習訓練の提示情報を充実させたソフトウェアの開発を行った。そして、今年度では熟練鍼師の操作力覚情報の取得と定量化を実現することによって、システムの評価指標を定めることができた。学習者が視覚情報だけでなく、力触覚が感じながら、リアルタイムの正誤判断を受ける鍼治療の学習訓練が行えるように、力覚を提示できる訓練システムの環境を構築した。そこで、視覚情報と操作力情報の提示できるシステムを用いて、学習者の評価実験を試みた。さらに各種の情報提示用および訓練評価管理用の総合データベースの構成も行った。今年度では教育現場や臨床鍼師との検討を重ねながら、手技を重視したコンピュータ教育訓練システムの充実を図った。
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