【1】感情情報を持ったフォントの作成 1)感情(臨場感)フォントの作成とアンケート調査 臨場感フォントは、マンガでの表現方法を参考に文字の書体、大きさ、間隔などによって定義し、文字では表しきれない非言語情報を視覚化したものである。具体的には、声の大きさ、声の高低、話すスピードなどについてフォントを定義した。健常者(242名)に対して、アンケート調査を行った。声の高低については、まだまだ研究の必要があるものの、声の大小やスピード感に関する臨場感フォントでは好結果を得た。 2)感情モデルによる背景画像の作成 マンガでよく用いられる「吹き出し」と「漫符」を使って、背景画像のアンケート調査を健聴者(104名)に行った。エクマンらが分類した人類の普遍的感情(怒り、嫌悪、恐れ、喜び、悲しみ、驚き)に平常心を追加した7種類の質問項目を設定した。吹き出しの形状(5種類)、漫符(14種類)は感情移入によく用いられるものを用意した。吹き出しの結果では「怒り」88%、「喜び」88%、「平常心」99%と答えた絵柄があった。漫符の結果では「喜び」「悲しみ」が45%以上と意見が集中し、「怒り」「驚き」が40%以上、「嫌悪」「平常心」が30%以上となった。 3)文字色と背景色のバランス調査 文字色と背景色のバランス調査については文献調査を行い、色の持つ印象を採用することとした。 4)文字アニメーション効果のアンケート調査と結果 健常者(109名)にアニメーション字幕付き動画を見せ、印象についてアンケート調査を行った。結果は、90名(82.6%)がアニメーション字幕を支持し、19名(17.4%)が普通字幕を支持した。アニメーション字幕支持者は、「臨場感や感情が感じられた」「分かりやすい」といった理由を挙げていたが、一方で普通字幕支持者は「臨場感は増したがやや読みづらい」「感情の受け取り方は見る側の自由である」といった理由を挙げた。
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