研究課題/領域番号 |
22500905
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
縣 秀彦 国立天文台, 天文情報センター, 准教授 (30321582)
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キーワード | 教育学 / 教育工学 / 天文学 / バーチャルリアリティ / 可視化 / 君もガリレオ / 金環日食 / 4D2U |
研究概要 |
新学習指導要領(平成23年度本格実施)で追加となった天文単元の内容では、小・中学校ともに児童・生徒の実状や指導者の実態にあった指導方法や教材の開発が急務となっている。本研究では、立体視バーチャルリアルティー(VR、具体的には「モバイル4D2U」システム)と組立式小型望遠鏡(「君もガリレオ」望遠鏡2種類)という2つの教具の活用に関する教育工学的な調査研究を中心に、太陽と月、地球の自転・公転、太陽系の理解、天の川銀河の理解等の学習において、どこの公立学校でも利用可能な教材群と機器を、現場の教師たちと共同で開発し、十分な評価・改善の後、広く国内外に配布していくことを目的としている。また、高等学校における地学履修率低下を勘案した上で、義務教育で最低限押さえるべき天文単元の内容を併せて検討・分析して発表することで、本成果の次回学習指導要領改訂時への反映を目指している。本研究は3年間の予定で、2年度目の成果は主に次の4点である。 (1)昨年度開発した安価で設定が容易なモバイル4D2Uシステムを天文イベントで利用し、学校教室利用の場合にシステムやソフトとして改善すべき点を明らかにした。(2)「君もガリレオ」プロジェクトを日本ユネスコ委員会からの協力で復活し(http://www.kimigali.jp/index.html)教材のブラッシュアップとモンゴルにおいて指導者養成実践を実施した。(3)パソコンプラネタリウム等のデジタル教具の小・中学校での活用について資料収集等検討を重ね、ARを用いた天文3Dコンテンツの制作に着手した。(4)2012年5月21日の金環日食国内観察に向けて、日食用教材映像作品、日食観察安全グラスや安全シート等をメーカーと共同で制作した。本研究のねらいと経緯、中間的な結果については北京で開かれた国際天文学連合CAP2011会議にて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目、研究協力者の異動等により、小型望遠鏡とデジタルカメラの教室での活用に関する研究が進まなかったものの、新たに日食観察用の素材の調査と日食観察用のボードとシートの開発が進み、2012年の金環日食利用に間に合ったことは当初には予定していなかった成果である。本開発教具は、日食のみならず例年の小・中・高校での太陽観察で広く利用されると思われる。 また、立体視バーチャルリアルティーの研究においても当初想定していなかったAR技術による3Dコンテンツの開発に着手できたことは良かった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究の最終年度にあたり実施し評価してきた新学習指導天文単元の指導方法と適した教材についてのまとめを国際会議にて発表するとともに論文化することを目的とする。 特に力を入れて開発した教材である小学6年用、中学3年用の太陽、月、地球の関係を理解するためのVR教材群に関しては、論文の他にも書籍やウェブ上の動画コンテンツ等として公開する。また、継続して実証実験も今年度実施する。 さらに、3年間教具開発を精力的に進めた太陽観察用の安価で配布可能な「日食安全観察シート」と「日食安全観察グラス」を2012年5月21日金環日食にて、全国各地の小・中学校に配布し、開発した教材・教具の評価を実施する。 一方、ユネスコ活動「君もガリレオ!」プロジェクトにおける教材の国際化作業とその評価においては、今年度はタイにて実地調査活動を行い、8月の国際会議にてその成果を発表予定である。
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