新学習指導要領(平成23年度本格実施)で追加となった天文単元の内容では、小・中学校ともに児童・生徒の実状や指導者の実態にあった指導方法や教材の開発が急務となっている。本研究は、立体視バーチャルリアルティー(VR、具体的には「モバイル4D2U」システム)と組立式小型望遠鏡(「君もガリレオ」望遠鏡2種類)という2つの教具の活用に関する教育工学的な調査研究を中心に、太陽と月、地球の自転・公転、太陽系の理解、天の川銀河の理解等の学習において、どこの公立学校でも利用可能な教材群と機器を、現場の教師たちと共同で開発し、十分な評価・改善の後、広く国内外に配布していくことを目的とした。また、高等学校における地学履修率低下を勘案した上で、義務教育で最低限押さえるべき天文単元の内容を併せて検討・分析して発表することで、本成果の次回学習指導要領改訂時への反映を目指した。本研究は平成24年度までの3年間実施され、3年度目の成果は主に次の3点である。 1.3年間、小中高共通の天文教具として開発した太陽観察用の「日食安全観察シート」と「日食安全観察グラス」の2012年5月21日金環日食での利用評価を論文にまとめるとともに、安全な太陽観測用教具の制作指針を提案した。ただし、VRや望遠鏡制作との連動は不十分であった。 2.開発した教材である太陽、月、地球の関係、および宇宙全体を理解するためのVR教材群をポスター、書籍およびウェブ上のコンテンツとして出版・公開した。 3.日本ユネスコ委員会より支援を受けて「君もガリレオ」教師用ワークショップを11,12月にタイ国内5か所で実施し、今後の工作用望遠鏡キットの改善点、国内で教師向けワークショップを標準化するための課題を抽出した。 (http://www.kimigali.jp/index.html)
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