病院内に設置された病気を持つ児童が療養しながら学習する教室において情報通信技術を活用することによりリアルタイムかつ等身大な映像により、対面性を高めた遠隔授業、異文化コミュニケーションを可能とすること、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を導入することにより教諭と入院児童、およびその家族、卒業した児童などに対するコミュニケーションの場とするともに、他の院内学級との連携の場を構築することを目的としている。前年度までに院内学級において、日常的に利用できるリアルタイムな映像を送受信するためのコミュニケーションシステムをPolycom・HDX7001により構築した。また、ベッドサイドティーチングを念頭において、モバイルコンピューティングを利用したノート型PCと小型カメラによりテレビ会議システムと連携できるシステムの検討を行った。 今年度は上記のシステムを用いて、院内学級と北海道大学北京オフィスとの間で遠隔授業を行った。本研究ではこの授業を「中国の文化を知ろう」プロジェクトと名づけ、異文化理解・環境・コミュニケーション・各教科の発展的補完の総合的な取り組みと位置づけ、 漢字・熟語の意味の相違や食文化の違いなどをクイズ形式で学びながら、異文化理解と自国文化の再認識、各教科の今後の学習の動機付けとなるべく授業を構築した。 さらに中国に加えてサウジアラビアからの遠隔授業を行い、文化、宗教が異なる人達との交流を行った。この授業の様子は国立特別支援教育総合研究所と連携し、大阪大学病院院内学級にも中継し、北大病院院内学級の遠隔授業に参加してもらい、ネットワーク上で壁を取り払ったオープンな学習スペースについて、その院内学級における意義や効果について検討した。
|