研究概要 |
本研究は,「子どもの学力向上のキーは,教材そのものにあるのではなく,その教材を通していかに子どもに思考をさせるかにある」との認識にもとづく。教師の子どもへの働きかけが学力向上への基礎基本であり,多様な働きかけの可能性を有する「教育メディア」を活用した授業を実践できる教師集団の形成が,重要な課題である。この課題に応えるために, 1)ベテラン及び中堅の教師授業,とりわけ,他者の授業における教育技術をどのようにとらえているかという視点 2)子どもとの関わりを通した「教育メディアの活用に関する教師の力量形成」の方策 3)「校内授業研究会の活性化と授業実践力の向上を目指した教師の知の伝承」の方策 について提案し,授業改善に資することを目的としている。 本年度は,特に,上記の1)及び3)に焦点化し,(1)秋田及び東京の特定の校内研修会に継続的に参画(2)トピック的な訪問で効果を上げる校内研修会の持ち方(視点)(3)公開研究会等における校外者との協同の研究会の持ち方等について,実践的試みを行った。 その結果,(1)については,次回の研修に課題をつなげる付箋紙等を用いたワークショップ型の研修方法が効果的であるとの知見が得られた。その一部を浦野(2011)で報告した。また,(2)については,訪問者による,当該校の全体的な課題と共に,個々の教員の発達の最近接領域の課題(ちょっとした配慮により改善可能な課題)の発見とその指摘が,当該校の次回の研修意欲を高めることにつながることが明らかになり,次年度において実践を継続したい旨の感想が多く認められた。(3)については,秋田大学附属小学校及び中学校の公開研究協議会において,付箋紙を用いたワークショップ型の協議を行い,参加型の研修の一つのモデルとしての評価が得られた。
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