最終年度にあたる本年度は,本研究の成果を取りまとめて「映像操作インタフェース」と「視聴インタフェース」を作成した.実際の授業では,受講者の理解の様子や反応に応じて,説明の流れを変えることが想定される.構造化ビデオ教材では,分割した映像区間(映像クリップ)にグラフ構造を与えることで,このような説明の流れの変化に対応する.「映像操作インタフェース」では,このグラフ構造を与える仕組みを実装した.具体的には,映像の分割情報に基づいて,各映像クリップに名前付けを行うとともに,各映像クリップをノードとし,遷移する映像クリップ間にエッジを付加することで,グラフ構造を表現し,映像クリップ間の再生順序付けを行えるようにした.「視聴インタフェース」では,グラフ構造により表現されたクリップ間の再生順序に基づいて,映像クリップの名前に基づく映像クリップ単位での再生,次に再生する映像クリップの候補提示,再生位置の提示が行える GUI インタフェースを実装した. 本インタフェースについて,授業での使用を前提に評価を行った.「映像操作インタフェース」については,GUI化されていないため,直感的な操作が行いにくく,改善の余地が大きいと判定された.「視聴インタフェース」については,映像クリップ単位での再生のみでなく,複数の映像クリップを連続して再生する機能や,再生速度を調整する機能,次再生候補の提示方法等,実使用に向けた実装上の課題がいくつか挙げられたが,概ね良好なインタフェースと判定された.今後の課題としては,実使用に耐えるシステムにするために,インタフェース自体のデザインや実用上の補助的な機能の追加等,実装を洗練させて行くことが挙げられる.
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