韓国においては、2000年以降、法整備の後押しもあり、サイバー大学の設立が相次ぎ、問題も起こった。まず、大学乱立により大学経営の問題である。日本と同じく、都市部と地方の大学における格差、つまり学生の人気が都市部の大学に集まり、一方、地方の大学には学生が集まらず、供給の均衡が崩れた。サイバー大学は、ソウル圏を中心とする都市部に集中し、地方におけるサイバー大学の数が減少した。いずれにしろ、情報技術の発展と経済動向の影響でサイバー大学は厳しい競争にさらされている。 サイバー大学の課題は、安定的な収入による良好な経営基盤の確立である。依然として韓国内の経済不況は改善されず、サイバー大学は、入学・登録率、再登録率の確保に躍起となっている。大学設置に関しては、規制があり、そのなかでも学生定員は規制されており、したがって、経営のために過剰な学生数を確保するわけにはいかない。これは、当然ながら、教育の質の低下に対する懸念である。これに関連して、専任教員の確保も課されており、学生200に対して専任教員1が原則となっている。また、必要な施設も確保する必要がある。たとえ、サイバー大学であっても、学生のサークル活動などオフラインでの集まりにかかわる場所の確保も必要である。さらに、通常の大学との単位互換やキャンパス施設(図書館、実験実習室)の利用を保証した協定も必要である。 韓国においては、サイバー大学の出現は10年程度であるため、歴史も浅く、発展途上である。今後の課題として、まず法制度の整備が必要である。大学院レベルのサイバー大学院の開設とその規制基準の確立、生涯教育法による管理も必要である、つまり正規大学は高等教育法による管理と財政支援があるが、サイバー大学に対しては未整備である。くわえて、適正な授業料の設定や定員規制、教育の質の保証や効率化のための遠隔教育システム・コンテンツの標準化等である。
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