研究概要 |
平成23年度には,前年度に行った支援環境の設計にもとづき,各支援系の実装を進めて知識の洗練化を行うためのシステム全体の試作を行い,中間成果報告のために国内研究会等への論文投稿・参加を行った。試作した支援環境は,以下の3つの支援系を組み合わせた統合的環境として実現した。各々の支援系は複数のアプリケーションから構成し連携して動作する。これらの開発にはシステム開発用PC及びシステム運用PCサーバを使用した。 (1)主体的学習と知識外化のための支援系:本支援系は,発表者がプレゼンテーションを行う前段階において使用するものであり,主体的に学習した内容をグラフ構造として表現・整理するための機能をもつ概念マップツールとして実装した。また,本ツールはデータベース機能をもち,事前に蓄えられた断片的な知識構造の蓄積を利用して,必要に応じて線形化することで,PowerPointなどの資料の作成を行うことができる。 (2)プレゼンテーション・リハーサルのための支援系:本支援系は,プレゼンテーション・リハーサルにおいてピアレビューを支援する機能を備えたネットワーク上で動作するサーバおよびクライアント環境である。サーバは,プレゼンテーションの様子を接続したビデオカメラを用いて録画・配信する機能,ピアらによるコメントを収集管理する機能などを実装した。 (3)ピアレビュー結果のフィードバックのための支援系:プレゼンテーション・リハーサル支援環境において収集された各種データを一元管理し,システム利用者によって随時参照可能とする機能を実現するサーバ・クライアントシステムを開発した。Webブラウザから利用可能なリポジトリ用のサーバ,および,MacOSとWindowsの各プラットフォームにインストールして使用可能な専用のクライアントの双方を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度においては,前年度に行った支援環境に関する考察と設計にもとづき,概ね当初計画していた通りにシステムの開発を進めることができた。システムは3つの支援系により構成されるが,各支援系とも当初の予定通りに実装が進んでおり,試験的な使用を通じた動作検証の結果も良好である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は本研究の最終年度となる。昨年度に引き続き,各支援環境の開発を進め知識の洗練化を行う支援システムの実装を完了させる。まら,設計・開発した支援システムの試験運用を行い,得られたデータの分析を通じて本研究で開発した支援システムの有効性を検証する。さらに,研究全体を総括し,研究成果報告のために国内外の学会において論文投稿・参加を積極的に行う。特にシステムの有効性の検証については,評価方法の検討はもちろんのこと,試験運用を行う対象の多様性にも留意し,周囲の研究グループにも協力を依頼して多様性を確保することで,その信頼性の確保に努める。
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