本研究の目的はマルチメディア外国語学習教材の学習効果を検証し、それに対する学習者のインタラクションパターンを分析することで、マルチメディア教材が備えなければならない要素と学習者に求められるインタラクションを特定することである。研究期間の平成22年から24年のうち24年度は外国語の語彙学習時の視覚情報の有効性に重点をおき、研究を進めてきた。 動詞の意味の理解および定着を促進するための一つの方法として視聴覚コンテンツの利用が考えられる。動詞の意味や用例を羅列する今までの辞書とは異なり、学習者の認知プロセス、記憶プロセスを考慮した視聴覚コンテンツを利用させることで学習者の語彙習得を促すことができると考えている。 特に多義動詞の意味獲得において、多義語には同じレベルの異なる意味をもっているものも存在する反面、ある意味が中心的意味をもち、他の意味はその中心的な意味から派生しているものもある。このような語彙のもつ意味体系を効果的に表現するためには視覚情報で表現したイメージスキーマの利用が考えられる。 そして日本語教育や韓国語教育分野におけるマルチメディア学習教材の有効性について、言語学習において視覚情報がもたらす影響という観点から考察した。映像の持つ特性や効果を考え適切に選定された視覚情報こそが学習者の理解を引き上げる一つの手段になるだろう。
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