本研究の目的は、e-ラーニングを活用したシニア層生涯学習のための高度コンテンツ開発のサンプルモデルを目指すことである。鑑賞型HD動画による伝統工芸や地域文化教材を作成し、主にシニア層を中心に知的欲求を満足させる質的に高度な内容が特徴である。また、学習者が伝統工芸に興味を持ち、産地に赴き、紀行、観光のための自己啓発支援のための効果的なシステム(エコミュージアム)との連携も検討し、シニア向けの教養・娯楽ニーズに沿った生涯学習用教材コンテンツの先駆けになることである。今年度は、ハイビジョンフォーマットのビデオ画像と3DCGをコンポジット(合成)編集する制作ワークフローの検討のため、先行する大学や研究機関、民間制作プロダクションを訪問した。先端スタジオでは、実写映像をリアルタイムに3D化しバーチャルセットと合成し、さらに立体視でインタラクティブに視点を変更しながら鑑賞できるコンテンツを制作していた。このシステムは検討中のコンテンツ内容に沿うものであり、シニア層に対し魅力的な訴求力を持つものと考えられる。また、教養・娯楽教材に求められる質的構成面として感性に訴えるメディア表現の必要部位(メディア・アート、メディア・デザイン)の調査、検討を行い、実際に映像を中心にした教材コンテンツ作成を行い、学習効果や評価を行い論文等にまとめた。これらの実践に基づく知見がサンプルモデル作成の基礎になると考える。
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