本研究の目的は,高校生・大学生を対象として,組込み・制御システムの概念,実装の学習を支援する教育環境における,教授者による容易なカスタマイズや運用が可能な機構,およびそのためのユーザインタフェース(UI)についての研究である.特に,ロボットなどのデバイスや可視化を用いた教育環境において,多忙な教員・教授者が,各自で容易に授業の進度に合わせた組込みシステム学習教材を開発するための機構およびUIの構築法について,開発および評価を通して明らかにしていくものである。本年度は最終年限であることから、これまでの研究成果を元にシステムとして取りまとめた。本成果は大きく分けて次の3点である。(1)組込みシステムで用いられているAndroidOSや組込みOSを対象としてOSの動作を可視化する環境の構築。(2)教材配信に必要となるクラウド環境について容易に管理、利用が可能になる環境の構築、(3)ゲーミフィケーションを取り入れたブラウザベースのシステム学習環境の構築、の3点である。(1)についてはAndroidのプロセスについて組込みOSボードから動作情報を、動作への影響を減らして取得する環境を構築した。また多くの学習者のログを管理するサーバ環境を構築した。また、ログを学習者が容易に把握できるように、ログの可視化ツールキットおよびツールを構築した。これはブラウザベースで動作することで教室内でのセットアップの手間を低減することを可能にした。また、組込みOSのメモリ管理についても可視化環境の開発を行った。(2)については教材配信をスケーラブルに可能とするクラウドサーバ群を容易に管理できる環境を構築した。(3)についてはOSのスケジューリングを学習者が楽しみながら構築できるように、ブラウザベースのゲームとして開発した。これらを通して教材開発システムおよび教材の利用が可能になった。
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