研究概要 |
本研究の目的は、教育の情報化の進展にともなって顕在化する問題に焦点を当て,問題の原因の解明やその問題の解決方法の研究をすることである。2010年度からの3年間の研究期間中における子どもの情報機器の利用環境の大きな変化として、スマートフォンの普及、ゲームのSNS化の2つがあげられる。本研究のスタート時点より、情報モラル教育を行う必要性がより増した状況になっている。また、校務の情報化も進み、教育現場における情報セキュリティの確保の問題もより重要となっている。 本研究の成果は、大きく「ゲーム機も含めた小中学生のネット利用に関する実態」、「生徒の実態を踏まえて実践する三層構造情報モラル教育アプローチ法」、「スマートフォン対応ワンクリック詐欺疑似体験アプリの開発」、「中学校技術・家庭科の教科書における情報モラル教育の指導内容の特徴」の4つとなる。 ゲーム機を含めた小中学生のネット利用に関する実態調査から、携帯電話を使用していない児童生徒もネット上のコミュニケーションを行っている実態が明らかになった。三層構造情報モラル教育アプローチ法は、児童生徒のネット利用実態を踏まえた情報モラル教育を学校全体で実践するための手法であり、予防効果、問題拡大抑止効果、再発防止効果の3つが期待できる。また、Android OSを搭載したスマートフォンのユーザーを狙った詐欺アプリの被害を防止するための体験型教材を開発し、教員研修会に参加した教員から授業で利用できる教材として評価された。さらに、中学校技術・家庭科の教科書における情報モラル教育の指導内容の特徴から、情報技術と情報モラルを関連づけた指導の在り方に関する課題を見出すことができた。
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