研究概要 |
平成23年度は,前年度に作成した,ものづくりのためのカリキュラム開発の改訂を行った(I)。次に,力覚装置と従来作成していたペンタブレットとのネットワーク伝送時の特性について実験を行い明らかにした(II)。次に,力覚装置を用いて表面粗さを再現する方法を検討し実験した(III)。I)1.仮想現実の一例として力覚装置の開発をテーマとして実施・検討した。その中で特に,電子回路部の製作においては,半田付け等の作業において十分な訓練が必要であることが分かり,カリキュラムの改訂を行った。さらに,この部分は仮想現実で半田付け作業のモデルを構築する必要性が明らかになった。実験題材としても有効なテーマの発見となった。II)1.力覚装置とペンタブレットを協働で操作するシステムを開発した。力覚間では同一動作が可能であるが,力覚とペンタブレットという非力覚装置との操作性について再検討した。ペンタブレットの動作をペン先の分解能と移動時間で分析し力覚に変換し,習字等の文字の表示を行えることを確認した。また,力覚装置で再現するためには,力覚装置の可動域とペンタブレットの可動域の違いがある。そこで補完式を導入し,再現された文字の補完を行い,補完式の吟味をおこなった。(III)力覚装置では表面粗さを表現できないとされている。そこで,力覚装置を使い表面粗さを再現する方法として摩擦モデルを使い,動摩擦と静止摩擦を再現し心理実験を行った。その結果,動摩擦の弁別閾は0.67[N],静止摩擦の弁別閾0.35[N]となった。弁別閾を明らかにし利用の範囲を明らかにした。しかし,力覚装置自身の特性による影響も今後検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
授業カリキュラムの改正を実施し,また,力覚装置を利用した表面粗さを再現して弁別閾を求めた。さらに,力覚装置とペンタブレットという非力覚装置との協働作業の可能性について再検討した。以上により,「おおむね順調に進展している」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
現在,仮想現実のなかで特に力覚に対応した装置の開発を検討している。カリキュラム構成のなかで,半田ごてを使った作業などについて特に訓練が必要であることがわかった。このことは最近の特徴でもあり重要視されてきている。本研究課題の力覚装置を使い,対応の一つである半田付けの作業などを効率的に訓練できる装置の開発と諸特性について明らかにしたいと考えている。また,e-Learning教材への対応を検討する予定である。
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