研究課題/領域番号 |
22500957
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
新井 紀子 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 教授 (40264931)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育学 / 情報学基礎 / 情報システム / ネットワーク / 情報工学 |
研究概要 |
本研究では、NetCommonsを基盤として学校情報化のためのワンステップシステムの研究開発を行う。2012年度は埼玉県総合教育センター・山形県教育センター・岩手県総合教育センターに協力を求め、「CMSを基盤とした学習支援に関する研究」の中で、(1)教員・生徒向けグループウェアとしての活用(2)小・中・高校における各教科での活用、に関して様々な研究実践を行い、その中で質的・量的な評価を行った。(1)のグループウェアとしての活用においては、NetCommonsを利用する前にはその心理的ハードルが高いが、実際に使い始めるとほぼすべての教職員が短期間で活用方法を修得でき、3か月程度内に本グループウェアがなくては業務が成り立たないほど活用が進むことが実証された。それを受けて山形県教育センターでは、グループウェア活用の心理的ハードルを下げるために利用シーンや利用者の声を集めたショートビデオを作成し、県内・県外に公開した。岩手県総合教育センターでは、我々の研究グループと連携して「災害時等における学校の情報発信力等向上事業検討委員会」を行い、災害・事故発生時の学校・保護者連絡ツールとしてのNetCommonsの有効性を実証した。こうしたフィードバックを受けて、次期の初等中等教育向けワンストップシステムとしてNetCommons3.0の仕様の検討を行った。NetCommons3.0においては、コアのフレームワークとしてCakePHPを採用し、研究開発環境をよりオープン化するとともに、教育機関からの要望が高かったワークフローの構造化と、ID連携(OpenID, Shibboleth)の仕組みを組み込む予定である。 以上の研究成果を公表・普及することを目的とし、2012年度NetCommonsユーザカンファレンスを開催し、300人超のユーザが参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2011年度、2012年度に埼玉県教育センターとの研究協力の結果、NetCommonsのグループウェア機能、学習支援機能に関する検証を進め、多様な科目と学年における利用シナリオの検討、利用前後の学習観の変容、学力の変化などを調べることができた。また、山形県教育センターとの研究協力の結果、グループウェア機能の利用シーンを分析することができた。これにより学校に必要なワンストップシステムの仕様を策定し、2013年度、計画を前倒ししてNetCommons3.0系の開発に着手することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度に策定したNetCommons3.0系の仕様に基づき、その開発に着手する。2013年度中に産学官によるコンソーシアムを築き、コアプログラムを開発、NetCommons3.0αとして公開する。2014年度にはNetCommonsβを公開し、全国の教育機関が利用可能になることを目指す。 また、継続してNetCommonsのユーザカンファレンスを開催し、研究成果の社会普及に努める。
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