解析ツールのライブラリ化を進め、整理・統合を行った。本研究課題の申請時点ではWebベースのサービスを主眼としていたが、近年の情報端末のシェアに鑑み、iOS機器やAndroid機器(モバイルデバイス)向けのサービスに主眼を移した。その結果、Webベースのサービスに比べてインタフェースの柔軟性が増した。またネイティブコードの実行が可能であるため、モバイルデバイスを用いることによる性能低下は相殺できると考えられる。当初想定していたWebベースのサービスではJavaやFlash等、サーバの解析環境とは異質なコードを用いる必要があったのに比べると、モバイルデバイスにおいては端末向けにもC++を用いた開発が可能であるため、結果としてサーバ用と端末用のコードの共通化が容易となった。 また、「はやぶさ」およびイトカワのデータを用いて、宇宙機や天体の軌道要素・姿勢および形状データを表示するためのライブラリを開発した。テスト環境において、軌道要素の抽出(サーバ側機能)と表示(端末側機能)が現実的な応答時間で可能であることを確認した。他の宇宙機や天体についても、同様に公開されているデータに関しては応用可能である。 またモバイルデバイス上で動作する簡易の解析機能の実装を試みた。これを含めて、一連のライブラリ群の動作確認のため、モバイルデバイス上でのデータロードから時系列の描画、FFT等の基本的なデータ処理と、処理結果の表示に至るシーケンスを実装し、シミュレータ上で正常に動作することを確認した。このように、ソフトウェアとしての動作およびユーザインタフェースの操作性等、テストベッドとしての動作確認は滞りなく進行した。 この研究課題で整備したライブラリ群を活用することにより、将来実務的なサービスを提供するにあたってのアプリケーション作成が容易になると期待される。
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