研究課題/領域番号 |
22500966
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
平野 満 明治大学, 文学部, 教授 (10189855)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 小野蘭山書簡 / 小野蘭山門人 / 百品考 |
研究概要 |
平成24年4月25日(水)から平成25年3月24日(日)まで開催された、内藤記念くすり博物館における企画展「江戸のくすりハンター 小野蘭山―採薬を重視した本草学者がめざしたもの―」に協力した。本展示は、平成23年から展示資料の選定などに協力した。この過程で、蘭山の書簡2通の新出資料を確認し、そのうちの一通は、同館で発行した展示図録に翻刻文とともに掲載された。平成25年3月、同展を見学した。 西尾市岩瀬文庫において、山本亡羊著『百品考』3点の自筆稿本を調査した。 名古屋市の個人収集家である雜花園文庫において、『本草綱目訳説』1点写本を調査し、流布本とほぼ同内容である点を確認した。 また、小野蘭山自筆の「春の七草図(彩色)」に門人宛の書簡を付した巻子を入手した。本資料は、明治42年6月発行『植物学雑誌』269号によると、同年小石川植物園で開催された「蘭山先生百年紀念会」の展示会に出品されたものと考えられる。宛名は吉岡忠庵と書かれ、今まで知られていなかった門人であろう。 なお、まだ未調査であるが、大塚修琴堂資料中に、蘭山の書1点、書簡2通の所在を確認した。 成果物としては、武田科学振興財団杏雨書屋における第二十八回研究会の講演「江戸時代後半期の本草学 小野蘭山」(平成23年10月22日実施)の記録を、「小野蘭山の本草学と天産物の情報収集」と改め、『杏雨』15号(平成24年4月発行)に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病気療養中のため、文献を収集する点のみに専念した。小野蘭山自筆の春の七草図は、蘭山の門人との交流、また画業を知る上でも貴重な資料である。 年度末に岐阜県各務ヶ原氏所在の内藤記念くすり博物館、愛知県名古屋市の雜花園文庫および西尾市岩瀬文庫に調査し、新資料の情報を取得した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで収集した小野蘭山関係の資料を検討し、小野蘭山本草学の集大成を目指す。 具体的には、小野蘭山門人で、蘭山の後継者の一人、山本亡羊の著書『百品考』(西尾市岩瀬文庫所蔵(請求記号47-42)の自筆稿本と、刊行されたものとの比較を行う。比較には、嘉永6年6月刊『百品考』(国会図書館蔵、請求記号特1-6)などを用いる。 また、北里研究所東洋医学総合研究所『江戸時代医学・本草学資料の整理と研究II』に掲載される「大塚修琴堂書画・一枚物目録」中の「修別126-7 釜谷数馬宛」「修別126-28 赤尾元圭宛」の蘭山書簡2通の現物を確認調査する。 さらに、上記の新出書簡も、内藤記念くすり博物館蔵書簡に加え、八坂書房『小野蘭山』(2010)に翻刻した書簡から、その内容を読み解き、小野蘭山本草学の実態を検証する。
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