本年度の予定では、パンチカード式計算機とその科学における利用の実態について調査し、その方法論に関する世界初の教科書を書いたエッカートの方法論について研究を進めることとなっていた。これに関して、ミネソタ大学チャールズ・バベッジ・インスティテュートのアーカイブに残されているエッカート自身の草稿等の検討を進め、9月には、エッカートの方法論の成立過程に関する研究を行ってきたカナダの研究者Allan Olleyを迎えて京都大学において研究会を行い意見交換した。この方法論について、日本での伝播を跡づけようと試みたが、その資料は今のところ発見されていない。この件については引き続き資料調査を行う予定である。IBM社におけるこの方法論の普及活動に関しては、上記のミネソタ大学のアーカイブに残されていた資料の検討により、その過程がある程度解明されつつある。 また、これに平行して行うことになっていたモンテカルロ法の開発とその普及のプロセスに関する研究については、普及のプロセスに関して、プリンストン高等研究所のアーカイブに残る気象学分野での利用に関する資料の検討を進めた。 さらに、コンピュータの導入における方法論の変化に関して考察を進めた結果、医療分野でのコンピュータ導入とその方法論の変化について検討していくことに意義がありそうだという結論に達し、次年度の研究を医学分野に広げていくことにした。 以上のとおり、本年度は調査研究と考察を進める予定であり、それを遂行した。これに関する研究発表は行われていないが、23年度以降には成果公開をしていく予定である。
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