平成22年度は、北海道東部の常呂川河口遺跡から出土した木製品(住居建築材含む「の観察・分類や木製品(特に住居建築部材)の一部を試料採取して、樹種同定をおこなうためのプレパラート作成および樹種同定(一部)をおこなった。また、遺跡出土木製品の一部について、年代測定を実施した。 1.常呂川河口遺跡から出土した木製品のうち、木材の直径や木取りや先端加工の有無が建築材を区別する上で有効な観察点ととらえられた。遺跡に残されていたものだけからの観察であるが、直径15cmをこえる木材が極端に少ないことがわかった。 2.建築材として分類される資料のうち、約140点を抽出して樹種同定のためのプレパラート作成や樹種同定(一部)をおこなった。同定作業は途中であるが、広葉樹や針葉樹が存在していることがわかっている。遺跡周辺の旧地形や花粉分析結果と照らし合わせると、遺跡周辺の植生から木材を得ていたと現段階では考えられる。 3.木製品から採取した試料の年代測定実施によって、擦文時代や中世や近世の木製品の存在が常呂川河口遺跡で明らかになった。木製品の出土状況の再検討によって、木製品(18世紀中頃降下の火山灰に覆われて出土した)について時期細別できる可能性がある。
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