研究課題
今年度は、研究の最終年度として、昨年度までに収集した現生・考古試料の測定と解析、および本研究の目標である標準年輪曲線広域ネットワークに基づく年輪変動の地域的区分および木材産地推定の可能性について検討した。現生標準年輪曲線の広域ネットワーク化については、研究分担者、連携研究者と協力し、新たに九州大学宮崎演習林のツガ標準年輪曲線および奈良県吉野のスギ・ヒノキ標準年輪曲線構築を行った。これらに加え、他の年輪研究者が有する各地の標準年輪幅曲線を参照し、年輪幅変動の地域区分を行った。その結果、ヒノキ科およびツガの年輪幅変動は、青森~秋田、宮城~関東、中部~近畿~四国、四国~九州という大きく4つの共通した変動を持つグループに分けられることが明らかになった。また樹種の違いよりも地理的区分の方が年輪変動に影響を与えることもわかった。現状では、日本海側の曲線が少ないなど、まだ不明の点もあるが、今後の木材産地推定に向けて、ヒノキ科標準曲線のネットワークと基本的な地域区分のデータが得られたことは大きな成果であった。一方、標準年輪曲線の延長については、主として試料の不足している江戸時代を対象に、試料収集と計測を実施した。具体的には、弘前藩津軽家上屋敷跡(17世紀~19世紀)など、江戸時代の江戸遺跡である。弘前藩上屋敷では、現生材と考古材との間にギャップがある18世紀初頭以降および19世紀中頃以降の遺構から出土したアスナロ材を集中的に計測・検討した。その結果、数点の試料がギャップを埋める可能性を示したものの、まだ試料数が少なく、確固たる標準年輪曲線構築には至らなかった。しかしながら、今後、アスナロ材の曲線延長が実現する可能性を格段に高めたと評価できる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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