初年度は、まず本研究で利用する化石骨試料の収集を行った。本研究では、分析用の骨試料の精製度を高めることを第一の目的としているが、併せて、希少性の高い試料を用いることから、精製後の回収率を高めることも目的としている。そのため、希少性の高い骨試料およびそれに関連する予備実験用の試料が必要である。そこで、東京大学総合研究博物館および沖縄県立博物館の協力を得て、各々に収蔵されている動物化石骨を観察・選定の後、借用し、分析用に採取を行った。また、初年度に計画していたアミノ酸分析器を購入した。本研究で最終的に目標とする分析では、一般的なアミノ酸分析器に、特殊な検出器を付属させて行うのが現在考えられる理想であるが、機器の専門の方々によく相談し検討を重ねた結果、技術的にも、機器の金額面でも、まだ困難な状況であると結論づけられ、若干方法を練り直す必要が生じた(これに費やすエネルギーが大であった)。通常のアミノ酸分析は予定どおりに行うが、特殊な検出器にかけるまでの前段階のデータ収集として、次年度に多く取り入れるべき作業が決まった。また、上記アミノ酸分析に用いる調製試料として、入手した骨化石からコラーゲンを抽出する作業を順次進めた。本研究で扱う試料は、稀少である上、通常どおりの前処理法では必要量を十分に回収できないような残存率の低い試料が多いため、コラーゲン抽出作業が非常に困難であり、予定以上の時間が必要であったが、試行錯誤の末、ある程度よい結果が得られている。
|