研究概要 |
平成22年度は、既に提案してある坑道形状の定量的な測定・評価および測定システムを用いて全国の鉱山坑道跡で実証試験を行った。具体的には、世界遺産登録を目指す「佐渡の鶴子銀山」や兵庫県「生野銀山」「多田銀銅山」などである。その結果、ロボットに取り付けたCCDカメラの映像やレーザ測域センサのデータから、鶴子銀山と生野銀山では入口付近から30m程度のところで水平坑と立坑が入り組んだ構造となっていることが確認できた。また坑道内部の形状測定データから導き出した体積より銀の採掘量を推定すると、立坑が本採鉱場と呼ばれる多量の鉱石が採掘された場所であると推察できた。 次に、現場での探査をより円滑に進めるために、坑道形状に対応した不整地ロボットの開発を行った。その結果、水平坑道探査ロボットは、全面クローラタイプでロボットの高さや幅は、坑道に合わせて個別に製作する必要があることがわかった。また立坑探査ロボットは、軽量かつ柔軟な構造で車輪タイプが適していることがわかった。どのタイプのロボットもモジュール間を板バネで連結することで,地面の凹凸に対し,柔軟に対応した動きを実現することができた。このことから、従来のロボットでは横転するような地面の凹凸を、複雑な操作なしに安全に走破することができた。また立坑探査の場合は、従来の坑道測定ユニットにロボットの回転情報を検知するための角度計を付加することによって、より精密な立坑内の形状計測が可能となった。
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