初年度の2010年度は、ALOSのPALSARセンサのデータを収集するとともに、ALOSのAVNIR2データやLANDSATのTM/ETM+データを収集した。また、SPOTのカラー画像の使用手続きや、現地の土地利用・土地被覆データの収集を行うなど、主にリモートセンシング・GISデータの収集を進めた。現在、これらのデータの解析を行えるようにするためのデータベース化を行っており、整理が終了次第、解析を進めていく。 一方で、解析手法に関しては、H/α/Aによる三成分分解法や、Ps/Pd/Pv/Pcによる四成分散乱電力分解などの手法を試みた。こうした合成開口レーダーによるデータに特化した解析方法から、土地被覆情報を取得できるかどうかの検討を始めている。 LANDSAT画像は長期のデータが取得できたため、NIVIなどを解析して土地被覆の抽出を試み、その経年変化を見出した。しかし、グランドトゥルースデータが少ないため、今後は現地での植生調査などにより、現在と過去の植生をいくつかの地点で把握し、光学センサによる土地被覆情報の解析を行って、面的な分布とその変遷を明らかにする必要がある。そして、その解析結果をもとに、合成開口レーダによるデータを用いた土地被覆解析を、同じ場所で行っていく準備を進めた。 このように、熱帯域では熱帯林に阻まれて現地調査は非常に難しく、また対流が活発なために光学センサでは雲がかかっていることが多く、少ないポイントでの現地調査をもとに、天気による影響が少ない合成開口レーダのデータにより土地被覆の解析を、比較的簡単に行える手法を開発する準備が整いつつある。
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