本研究では、ALOSのPALSARデータを用いて、熱帯の土地被覆分布の分類を行うとともに、現地フィールド調査を行って、その正確性について検証を行った。 研究期間中にPALSARデータを解析して、統計的クラスター分析手法を用いて土地被覆分類を行うとともに、タイ国中部の熱帯サバナ地帯(森林、草原、住居と農耕地としてパイナップル畑・ブドウ畑を含む)でフィールド調査による土地被覆分類の確認を行った。その結果、PALSARデータから、ある程度の土地被覆分類は可能であったものの、光学画像に匹敵するような分類は行えなかった。工学画像では、可視光と近赤外から植物及びその他の区別が明確にできるのに対し、PALSAR画像では体積散乱から樹木かどうかを知ることはできるが、畝の方向性など攪乱要因が多いためであると推測している。 一方で、精度は高くないものの、天候によらずPALSAR画像を用いれば必ず解析が行えるということは、森林火災直後の焼け跡調査などが、ある程度可能であることを示している。つまり、あらかじめ同じ時期の光学画像とSAR画像を用いて土地被覆分類を行った場所では、その他の時期のSAR画像を用いて、変化を知ることができることがわかった。つまり、光学衛星画像で熱帯域をとらえると、雲がかかっていることが多いため解析できるチャンスが少ないが、精度は悪いながら回数を稼ぐ上でPALSAR画像は十分に利用できる範囲であると考えている。 今後は、熱帯以外でも同様の調査を行うことに加え、SARのみを用いて、よりよい精度の土地被覆分類ができるよう、さらなる検討を行っていきたい。
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