| 研究概要 |
本研究は,日本列島における第四紀地史を解明する研究の一部として,関東において第四紀に降下堆積した全テフラの層序を構築することを目的とする.このため本研究では,未記載のテフラが多い前期更新世に着目し,房総半島,銚子地域,関東平野西縁丘陵に分布するテフラ,また,東京都内のボーリングコア中に保存されている地下テフラの記載岩石学的特性を明らかにする.平成22年度の計画としては,野外地質調査により試料採取対象とするテフラがOmn-Kd25テフラからTmg-R4テフラ層準のもの,同じく調査対象のボーリングコアは東京都土木技術センターにより東京都府中市,立川市で掘削されたものであった.これらの採取したテフラは,記載岩石学的特性を明らかにするための各種分析(火山ガラス,斑晶鉱物の屈折率測定,火山ガラスの主成分化学組成分析,ICP化学分析)を行なう予定であった.研究実績としては,多摩丘陵,狭山丘陵,加治丘陵,伊豆半島で前期更新世テフラの野外観察と試料採取を行なった.また同様に,東京都八王子市で採取された長さ約500mのボーリングコアの観察を行い,テフラ採取を実施した。一方,HM-Kd16からOmn-Kd25にかけてのテフラの記載岩石学的特性をカタログ化し,それらの噴出年代を134～163万年と推定するとともに降下堆積当時の古環境を復元し、その成果を地質学雑誌(日本地質学会)に投稿し,年度内に受理され,平成23年度中に掲載されることが決定した,また,東京都内のボーリングコアのテフラについてもこれまで検出されているもののカタログ化し,産出深度から堆積物の変位を推定し,地殻変動様式を考察し国際誌に投稿した
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