グローバルな社会経済的な情勢に敏感に反応して、自らの内部構造を再編し、対外的にはオープンな関係を構築するような、グローバル都市地域と呼ぶにふさわしい新しいタイプの空間が、とりわけアジアにおいて数多く現出している。これまで中国大陸のいくつかの都市を事例にとって調査研究を行ってきたが、そうしたケーススタディを比較・相対化して理論化への契機を探ることを目的として、シンガポールと香港において資料収集を主な内容とする現地調査を行った。 シンガポールでは、まず東南アジア研究所を訪問し、その研究状況を理解し研究所が出版する文献を入手した。シンガポール国立大学(SNU)の中では地理学科、中央図書館、中国語文献図書館、文化センター等を見学し、若干の資料を入手した。シンガポール国立図書館(NLS)においても、どのような関心が共有されておりどのような資料が利用できるかを確認した。そして各種の書店で関連する書籍を購入することができた。香港においても、グローバル都市地域としてのその都市形成に関する資料を収集することに努めた。中国研究大学サービスセンター(USC)では、特に統計資料を中心にデータの収集を進めることができた。香港特別行政区政府の情報サービス処(ISD)においては、人口センサスや年次報告などの政府刊行物を購入した。その他、香港中文大学・香港大学・経済導報社などの書店においても関連する書籍を購入することができた。 日本地理学会春季学術大会において口頭発表を2件行った。一つは「中国におけるグローバル化の中の都市再編」であり、もう一つは3名による共同発表の「中国長春市における日系自動車企業の立地展開」である。また、『地学雑誌』に査読論文の「中国の地理学」が掲載された。『人文地理学事典』では「経済特区」の項目を執筆した。
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