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2011 年度 実績報告書

ヒトT細胞白血病ウイルス1型由来のゲノム産物による宿主転写ネットワークの撹乱

研究課題

研究課題/領域番号 22501000
研究機関徳島文理大学

研究代表者

大島 隆幸  徳島文理大学, 香川薬学部, 准教授 (10397557)

キーワードウイルス / 薬学 / 遺伝子 / 応用微生物
研究概要

HTLV-1は成人T細胞白血病(ATL)やHTLV-1随伴髄膜症/熱帯痙性麻痺(HAM/TSP)の原因となるヒトレトロウイルスであり、特にATLは極めて悪性度の高い白血病であり、発症した患者はその半数が1年以内に死亡する。本研究では、ウイルスゲノムのマイナス鎖にコードされるHBZタンパク質と宿主因子との関連に着目し解析を行った。その結果、HBZは核内外をシャトルしていること、また細胞質においてDNA損傷や様々な外界からのストレスに応答して発現誘導される宿主因子と相互作用することを見出した。HBZの核外輸送機構の詳細を解析した結果、HBZのN末端30アミノ酸には、核外輸送担体の一つであるCRM1が相互作用すること、またスプライシングアイソフォーム間では核外輸送シグナルの数が異なることを明らかにした。さらにアルキル化剤の一つであるMMS処理により細胞にDNA損傷を与えると、HBZの局在は核から細胞質へ移行することを見出した。この細胞質局在には、少なくとも一部はGADD34との相互作用が重要であり、またHBZはGADD34の機能を負に制御することを明らかにした。特に翻訳や細胞増殖の制御因子であるmTORシグナル系の活性化をすることを見出した。これらの知見は、HBZは核外においても宿主細胞機能へ影響を与えることを示唆するものであり、今後は核内のみでなく細胞質因子との相互作用を介した生理学的意義の解析が重要となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HBZの核外輸送メカニズムとその生理学的意義は、HBZの細胞質での機能解析という点で初めての知見であり、またこれらの研究成果については、現在論文を投稿中である。

今後の研究の推進方策

今後はGDD34以外の細胞質因子との相互作用を中心に解析を進める。特に様々な外界からの刺激に応答して核内にシグナルを伝達する宿主因子や、抗ウイルス作用に重要な役割を果たす因子などに着目し、それらの機能に対するHBZの作用を明らかにする。また患者由来の細胞を用いた解析を行うことで、発症との関連性を視野に入れた研究を展開する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Dual effects of HTLV-1 bZIP factor in suppression of interferon regulatory factor 12011

    • 著者名/発表者名
      Risa Mukai, Takayuki Ohshima
    • 雑誌名

      Biochem.Biophys.Res.Commun.

      巻: 409 ページ: 328-332

    • 査読あり
  • [学会発表] HTLV-1 HBZ activates mTOR signaling pathway via inhibition of GADD342011

    • 著者名/発表者名
      Risa Mukai, Takayuki Ohshima
    • 学会等名
      15^<th> International Conference on Human Retrovirology : HTLV and Related viruses
    • 発表場所
      Belgium
    • 年月日
      20110600

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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