本研究の第一目的であるRas/ERKシグナルによりリン酸化されたGATA-6がどのようなメカニズムでNox1遺伝子を活性化させるかについては、リン酸化GATA-6がHMGB1とともにNox1プロモーターへ結合すること、GATA-6のDNA結合能はGATA-6のリン酸化によること、HMGB1のGATA-6への結合はGATA-6転写活性を2倍増加させることなどを明らかにし、学会発表と討論を行い、現在論文執筆投稿準備中である。また、Nox1遺伝子以外の発癌に関係するGATA-6標的遺伝子を検索するために、大腸癌由来CaCo-2細胞から抗GATA-6抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、GATA-6結合性のゲノムDNA断片クローンを172個クローニングし、そのDNA配列を解析中である。GATA-6リン酸化部位PYS^<120>Pに相当するリン酸化ペプチドを化学合成し、これを抗原としてウサギからの抗血清を作製し、アフィニティーカラムにてGATA-6PYS^<120>P抗体の精製と濃縮を行った。現在、抗体の特異性力価性質などをELISA、Western-blot法にて検定している。GATA-6の発現と発癌の相関を調べるため、CaCo-2からGATA-6プロモーター領域をクローニングし、転写活性測定用リポーターを作製した。概ね研究実施計画通りに研究を進めている。
|