研究課題/領域番号 |
22501007
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
安達 喜文 信州大学, 医学部, 准教授 (50201893)
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研究分担者 |
鎌田 徹 信州大学, 医学部, 教授 (40056304)
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キーワード | シグナル伝達 / 転写因子 / GATA-6 / TOPORS |
研究概要 |
本研究の第一目的であるRas/ERKシグナルによりリン酸化されたGATA-6がどのようなメカニズムでNox1遺伝子を活性化させるかについては、リン酸化GATA-6がFMGB1とともにNox1プロモーターへ結合すること、GATA-6のDNA結合能はGATA-6のリン酸化によること、HMGB1のGATA-6への結合はGATA-6転写活性を2倍増加させること、HMGB1のGATA-6への結合部位を同定するなどし、これら研究結果を学会発表し、現在論文執筆投稿準備中である。また、Nox1遺伝子以外の発癌に関係するGATA-6標的遺伝子を検索するために、大腸癌由来CaCo-2細胞から抗GATA-6抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、GATA-6結合性のゲノムDNA断片クローンを172個クローニングし、それらのDNA配列を解読し、Nox1、TOPORS,Caveolin-1,Tenascin-C,Surfactant Protein A、Aquaporin-5、Muc4、Muc5bなどを同定した。これら新規標的遺伝子のうち、癌関連のTOPORS(トポイソメラーゼI結合/p53結合性のRINGフィンガー蛋白質)遺伝子のGATA-6による発現制御機構は、ほとんど研究されていなかったので、発癌におけるGATA-6によるTOPORS遺伝子の発現制御に焦点を当てることにした。大腸癌由来細胞CaCo-2からGATA-6依存性TOPORSプロモーター領域をクローニングし、転写活性測定用リポーターを作製して、発癌における転写制御の詳細を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸がん由来CaCo-2細胞での抗GATA-6抗体を用いたクロマチン沈降にて、172クローンをクローニングし、その中からNox1以外の新規標的遺伝子としてTOPORS(トポイソメラーゼI結合/p53結合性のRINGフィンガー蛋白質)遺伝子を同定した。そして、TOPORS遺伝子の5'上流転写制御領域をクローニングし、転写制御解析用レポーターを構築した。GATA-6は他の核内因子と協同してTOPORS遺伝子の発現を抑制的に調節することを見いだした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)Nox1以外の新規GATA-6標的遺伝子として単離したTOPORSの転写制御領域の各種レポーターを作製したので、GATA-6によるTOPORSプロモーターの活性制御を分子レベルで解析する (2)各種癌由来培養細胞について、GATA-6の発現ノリン酸化および標的遺伝子TOPORSの発現を解析する。 (3)GATA-6の標的遺伝子TOPORSを各種培養細胞に遺伝子導入し、トランスフォーメーション能/コロニー形成能/細胞増殖/細胞周期/EMT/アポトーシスなど、細胞生物学的変化の解析を行う。 (4)期間内の一連の研究成果をふまえ、本研究「発癌のシグナル伝達における転写因子GATA-6の機能的役割の研究」を総括する。
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