mDia1KOにDMBA/TPAを塗布したところ、mDia1KOでは1匹当たりの背部に発生するパピローマの数をWTマウスと比較すると著しく減少し、またパピローマの発生した時期もWTマウスに比べ顕著な遅延を認めた。しかし、DMBA/TPAによるパピローマ形成はマウスの遺伝背景に大きく依存する。そこでマウス遺伝背景をFVBにするために戻し交配し、DMBA/TPA塗布実験を行っている。また、mDia1KOマウスから単離したMEF細胞に活性化型Rasを恒常的に発現させ、軟寒天培地で培養したところ、mDia1KO MEF細胞では著しく増殖能が低下していた。現在ERK、PI3KなどのRasの下流分子のリン酸化レベルの検討している。 平行してmDia2の個体での役割をmDia2欠損マウスを作出し解析を行った。本マウスは胎生12.5日以降に致死となり、その際、貧血の表現型が観察された。また末梢血内では多核化赤芽球が増加し、造血組織である胎児肝臓内の赤芽球の細胞数減少も見られた。この赤血球産生の障害の機構解明のため、胎児肝臓由来の細胞を用いた分化誘導実験を確立し、その障害機序の解明を行っている 。 細胞質分裂時のCitronKの機能解析を行い、細胞膜と連絡する中央体の構造が不安定化し細胞質分裂完了が失敗することが判明した。ついで、CitronK部分断片を用いRNAi回復実験を行った結果、CitronKのCC(Coiled-coil)領域のみで表現型回復を認めた。また、CitronKのCC-N端領域でKIF14と結合し、CitronKは中央体にリング状の局在を示すこと、一方、CC-C端領域には、Rho結合とともに、細胞内でのクラスター化を担う部分が存在することが見出した。以上より、CitronのCC領域の二つの異なる領域を介した中央体への局在化とその構造の安定化に重要であることが示唆された。
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