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2011 年度 実績報告書

非バイアス性ゲノムワイドアプローチを用いた新規ガン協同遺伝子の同定と解析

研究課題

研究課題/領域番号 22501020
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

内藤 拓  独立行政法人理化学研究所, 免疫転写制御研究グループ, 研究員 (10568728)

キーワードIkaros / リンパ腫 / クロマチン / ヒストン修飾 / Mi-2β
研究概要

Ikaros変異はヒト、マウスでともにT細胞性リンパ腫の発症に関与することが知られており、Ikarosにより制御される遺伝子群にはこれまで同定されていない発ガン遺伝子、あるいはガン抑制遺伝子が含まれていると考えられる。本研究ではそのような遺伝子の同定を目的として、Ikarosのゲノム結合サイト、およびIkaros変異細胞における遺伝子発現プロファイルより候補遺伝子を抽出し、そのT細胞分化およびガン化への関与の検討を進めてきた。昨年末までにおよそ20余りの候補遺伝子についてFTOC(fetal thymic organ culture)を用いてスクリーニングしたが、コントロールとして用いたIkarosノックダウン様の表現型を示すものは同定されなかった。Ikaros変異胸腺細胞におけるクロマチン構造変換因子Mi-2βおよび様々なヒストン修飾のゲノム上の分布をChIP-seqを用いてゲノムワイドに検討したところ、Ikaros非存在下においてMi-2βは多数の新規サイトに結合すること、また抑制的なヒストン修飾であるヒストンH3K27のトリメチル化が顕著に減少していることが明らかとなった。このことはIkarosにより間接的に制御される遺伝子群に目的とする遺伝子が含まれている可能性、および広範囲に及ぶH3K27トリメチル化の低下が遺伝的ネットワークの制御異常をきたしガン化を引き起こす可能性を新たに示唆した。両方の可能性について検討を進めるため、間接的なIkaros標的遺伝子の中から候補を新たに絞り込むとともに、ゲノムワイドなH3K27トリメチル化のリンパ腫発症への関与についても検討を進めるため、H3K27メチル化酵素複合体の必須サブユニットであるEedの条件的遺伝子変異マウスの作成を開始した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初はIkarosにより直接制御される遺伝子のみに焦点を当てて候補遺伝子の絞り込みを行ってきた。しかしゲノムワイドな解析の結果はIkaros欠損によるMi-2bの新規遺伝子への局在と活性化、あるいは広範囲なH3K27トリメチル化の低下による遺伝的プログラムの制御異常がガン化における重要なイベントである可能性を新たに明らかにした。このためIkarosの直接的な標的遺伝子からのアプローチでは不十分であることが考えられる

今後の研究の推進方策

Ikaros変異によるリンパ腫発症のメカニズムとして上述の可能性が新たに考えられたため、今後はIkarosの間接的な標的遺伝子についても絞り込んだうえ候補としてスクリーニングしていく予定である。またH3K27トリメチル化の関与についてもEedの条件的遺伝子変異マウスの作成と解析を通して検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Transcriptional control of T-cell development2011

    • 著者名/発表者名
      Naito T, Tanaka H, Naoe Y, Taniuchi I
    • 雑誌名

      Int Immunol

      巻: 23 ページ: 661-8

    • DOI

      doi:10.1093/intimm/dxr078

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pre-TCR signaling and CD8 gene bivalent chromatin resolution during thymocyte development2011

    • 著者名/発表者名
      Harker N, Garefalaki A, Menzel U, Ktistaki E, Naito T, Georgopoulos K, Kioussis D
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 186 ページ: 6368-6377

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1003567

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Harnessing of the nucleosome-remodeling-deacetylase complex controls lymphocyte development and prevents leukemogenesis2011

    • 著者名/発表者名
      Zhang J, Jackson AF, Naito T, Dose M, Seavitt J, Liu F, Heller EJ, Kashiwagi M, Yoshida T, Gounari F, Georgopoulos K
    • 雑誌名

      Nature Immunology

      巻: 13 ページ: 86-94

    • DOI

      10.1038/ni.2150

    • 査読あり
  • [学会発表] The functions of lineage-specific silencers depend on surrounding chromatin enrivironment2011

    • 著者名/発表者名
      内藤拓、室井佐和子、谷内一郎
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] T細胞系譜特異的サイレンサーの互換性およびクロマチン環境依存性の検討2011

    • 著者名/発表者名
      内藤拓、室井佐和子、谷内一郎
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会総会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県)
    • 年月日
      2011-11-27

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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