研究課題
腫瘍の免疫回避機構に関わる詳細な分子機序解明のために、B16F1メラノーマ腫瘍内樹状細胞投与モデルを用い、特異的腫瘍免疫応答を回避する細胞株・クローンを樹立した(B16F1株を皮下接種し7日目の生着腫瘍の腫瘍内に、活性化骨髄由来樹状細胞を投与するマウスを使用;このマウスは5~8割の確率で生着腫瘍を拒絶)。このメラノーマ拒絶マウス(以下、免疫マウスと呼ぶ)は、再接種されたB16F1は100%拒絶するが、EL4は拒絶せず、T細胞を除去すると拒絶応答が消失することより、拒絶応答は腫瘍特異的T細胞依存性であった。更にB16F1の10クローンを樹立、検討した5個のクローンは、naiveマウスで生着、免疫マウスで拒絶されるもので、4クローンに関して、マウスの皮下に接種し、同様の樹状細胞療法を施行、うち少なくとも2つのクローン由来の腫瘍塊は、1~3割の確率で、親株で観察された腫瘍増殖パターンを示した。この再増殖した腫瘍塊より、腫瘍株、更にはそのクローンを樹立、拒絶マウスに再接種したところ、拒絶されずに腫瘍塊を形成した。PBSで治療した群からのクローンは免疫マウスで拒絶された。獲得された免疫回避機構の責任分子の同定の目的に、免疫マウスで拒絶されないクローン及びPBS投与群の拒絶されるクローンのトランスクリプトーム解析を次世代シーケンスで解析した。MHC class I、TRP2、GP100、IFN-γ(反応性も含む)、Fasの遺伝子発現は変化なく、IgSFに関しては発現上昇を認めるも、遺伝子導入では明らかな拒絶耐性の形質を示さなかった。その他、Sytl2、GATA1, 2の上昇、NGFR低下等を示した。以上、腫瘍免疫療法で惹起される腫瘍特異的T細胞依存性に、耐性腫瘍クローンが新たに出現することが世界で初めて実証され、上記因子が腫瘍回避機構のバイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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